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舌の触覚

舌は味を感じるだけではありません、とても鋭く繊細な触覚を持っています。一方で背中の様にそれほど感覚が鋭くない部位もあります。どうしてそんなに差があるのでしょう?

身体のどこでも2本の指先で触れてみてください。指先の間隔を狭くするとそのうち2点で触れていても1点と感じるようになります。この2点を2つと認識する能力を「触覚2点弁別能」といい、前述のように身体の部位によってすごく差があります。アーネスト・ハインリッヒ・ウェーバーという19世紀のドイツの生理学・解剖学者の研究によると、「背中」では5センチ以上離れていても2点を1つと感じてしまいますが、それに対し「指先」や「唇」は2~3ミリ、さらに、「舌の先」ではわずか1ミリしか離れていなくてもちゃんと2点を2つと感じることが出来るとあります。個人的に実験してみると、私の場合舌先は0.2mmでも2点と感じることが出来ました。0.1mm以下でも大丈夫というお話を伺ったこともありますから、実際には多くの方が舌先で1mm以下でも2点と感じられそうです。

この2点をちゃんと2点として感じる2点間の距離を「触2点弁別域」とか「空間的2点弁別域」というそうですが、距離が短い部位ほど「敏感」、長ければ「鈍感」といえます。
鈍感と聞くと印象が悪く、「背中や足の裏はダメな部位」と感じるかもしれませんが、部位によっては鈍感であることも重要です。例えばもし、足の裏や背中が指先や舌並みの鋭い感覚を持っていたら、きっと歩いたり寝たりするのに支障が出るでしょう。要は適材適所、身体各部にそれぞれの役割に沿った能力が備わっているのです。では何のために舌はそれほど鋭い感覚を持っているのでしょう?

それはやはり「危機回避」のためだと思われます。
食事の際、魚の骨と身を口の中で分けられる。髪の毛1本でも探し当てられる。これはつまり飲み込む前に異物排除が出来るということでもあります。
太古の昔、まだ人間が二足歩行する以前、さらにはまだ視覚さえも持ち合わせていなかった時代、口がまさに生命線であった時の身体を守るための能力が、進化した今も受け継がれているとも思えます。

虫歯の穴が実際よりも大きく感じられてしまったり、入れ歯に強い異物感を感じたり、目では見つけられなかったさんまのほそ~い骨を選り分けられたり、そんな身体のどこよりも鋭い感覚が口内にあるのは「口がどこよりも重要な器官」である証拠。進化の上ではそうですが、果たしてあなたの脳はそう考えているでしょうか?

(蒲郡市歯科医師会 中澤 良)  


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